目を閉じて一日の終わりのはずなのに、
目を閉じたらすぐ、
またあの忌まわしい朝がやってくる。
朝の行持は静かに怒濤だ。
もう腹が減ってる。
すぐさま次の欲求はやってくる。
腹が減っては戦はできぬなら、腹が減るから修行ができる、ということなのか。
こっそりノートに書く食べたいアレコレを考える時の集中力と言ったら、
坐禅中の集中力の比ではない。
そうやって感じ、得る力は、
人間本来の力を引き出す為の欲求不満の賜物だ。
なんて不確かな事を思うのは、
永平寺での修行生活を終えて四年と数十日の歳月を経てからのハナシだった。
食べても食べてもまだまだ食べ足りない。
食べ足りない分を夢の中で自由に食べる。
食べても食べてもまだまだ食べ足りない。
食べ足りない分を夢の中で只管に食べる。
つづく